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ドクター角倉の電動機情報(掲示板より抜粋) 44)

44) コミュ研の頻度とブラシ寿命について (2003年2月26日〜3月12日)

APC12×6E

最近、マーチのプロペラを変えてみました。

バッテリ−:6セルNi-MH3300
モーター:ヨコモSプロ 9T3W
KV0:5650rpm/V(進角0時の1V当たりの無負荷回転数)
プロペラ:APC12×6E
ギヤ比:100/23=4.35
ペラ初期回転数:7400〜7500rpm
電圧:6.3V
電流:52A
フライト時間:8分以上(パワーON 6分)

飛行スピードは11×7に及びませんが、上昇の粘りは中々のもので、パワーの判断基準にしているフィギュア9も問題ありませんでした。 P-03パターン終了後でも自重以上の静止推力があります。
普通、大きいペラにすると、色々な癖も大きくなって飛ばし難くなるものなのですが、これは電動用で軽いせいなのか、不自然さは感じられませんでした。


はじめて投稿させて頂きますが私も540モーターの可能性を思う一人として質問させて下さい。9Tモーターでの6セル セッティング非常に興味ある内容に思えますがコミュウ&ブラシの消耗は如何なものでしょうか?
(DiVE氏)


コミュ研の頻度

コミュの傷み方ですが、これは運転方法によって変わって来るので、一概に「何フライト毎にコミュ研」とは言えないものです。

6セルNi-MH3300を使い始めた頃は、初期40A台のセッティングで使用していたので、10フライト以上は使い続けていました。 その中でも、ちょっと緩めのセッティングにした時などは、それはもうこれまで見た事が無い程ピカピカの接触面だった事もあります。

ただ最近の様に、初期50Aを超えるセッティングになって来ると、10フライトは持たなくなってしまいます。


コミュ研のタイミング

これはこまめにブラシを抜いて点検するしかありません。 最初ピカピカだった表面が、使用を重ねるに従って細かい筋が多くなり、ツヤが無くなって筋だらけになったらコミュ研の時期です。 この時コミュを削ってやれば、0.01〜0.02mm削るだけで、ブラシ交換やブレークインなど全くする事無しに、モーターを使い続ける事ができます。 順調に使えれば、コミュは直径が7mm程度になるまで使えますし、その間、ブラシを新品にする必要はありません。 つまりローターとブラシの寿命は同じ程度という事です。

実は、この「コミュ研時期」を見極めるのが540ブラシモーターを扱う上での重要なポイントなのです。 時には、この終わり真際でモーターの調子が良くなる事もあるので、見極めは更に難しくなります。 この時期を逃すと、ブラシのアーチ状の接触面がコミュの傷んだ面をまたぎきれず、コミュでガリガリ削り取られる結果になるので、ブラシがアッと言う間に無くなってしまいます。

この辺の見極め方は、自分でコミュ研しながら経験を積んでいくしか無いので、是非色々試してみて下さい。


コミュ研用バイトの切れ味

コミュ研についてはこの掲示板の2001年8月頃にも書き込んだ事がありますが、ここで、もう一度取り上げてみる事にします。

まず、バイトですが、これはその時にも紹介した「京セラチップTPMH110304SE 材質KPD010(ダイヤ)」と言う一辺が10ミリ程度の三角形で刃先の半径が0.4ミリのチップを使っています。 仕入れ方法は、町の機械工具屋さんを電話帳で探し出し、そこに注文しています。 二千円台で購入出来ます。

ただ、これはチップのみなので、柄の部分は自作する必要があります。 自作と言っても、それ程大きな力が加わる所ではありませんから、適当な金属棒があればその先にネジ止め用の穴をあけるだけで用は足ります。

肝心の切れ味ですが、切れ味が悪いと・コミュの溝にバリが出たり・使用中のコミュ表面にゴマ粒状のスパーク痕や、床屋の三色回転看板の様な螺旋の縞模様が出てしまうのですが、このチップではこの様な問題は発生していません。


コミュ研の仕上がり状態

ブラシモーターの良い所(いい加減な所とも言える)は、コミュテータやブラシのコンディションが多少悪くても、電気が流れさえすればモーターが回ってしまう所にあります。 その為、コミュ研の仕上がり具合がどの程度なら良いかは個人個人によって異なってしまうかもしれません。

そんな訳で、あまり細かい事を言っても仕方ないのですが、理想的な事を言えば、バイトの送りスピードを一定にして一方向に削り、コミュがもの凄くピッチの細かいネジ状になっているのが一番だと思います。

バイトの送りスピードが一定でなかったり、バイトを往復させたりすると、ネジのピッチが不揃いになるので、その結果、真円度は悪くなってしまいます。 また、その時、バイトの切れ味が悪ければ、何回削っても(往復させても)柔らかい銅を押し退けるだけで、いつまでたっても良い状態にはなりません。 コミュの溝にバリが出る時は、バイトの切れ味が悪くなっているので、バイトの交換が必要だと思います。


ブラシ寿命について

ブラシは、モーターに最初から付いている「ヨコモ081」を使っています。 RCカーの方では「**パック毎にブラシ交換」などと言う事がありますが、それはレースでのパワー配分まで考えた事でもあると思われるので、飛行機ではその必要はありません。 また、ブラシの「変質」と言う問題も全く無視出来ます。 ブラシの長さが新品の半分くらいになって、ブラシホルダーの中でのガタつきが気になり始める頃まで使い続ける事が出来ます。

ブラシが見る見る減ってしまうのはコミュが傷んでいるからなので、コミュを真円にしないでブラシ交換だけしても無意味です。 「コミュを手でサンディングして表面をピカピカにする」などは論外ですね。

「ヨコモ081」ブラシは、6〜7セルで使うには通電性も良く、耐久力も問題無いのですが、10セルで電流値も大きめで使う時には、コミュを荒らす原因になってしまいます。 10セルでコミュの傷みが激しい場合は、他のブラシに変える必要があります。


540ブラシモーターについて

コミュ研の頻度については前にも書きましたが、10フライト程度毎なら、まあ許せる範囲で、現実的な所ではないかと考えています。 これなら、土日に飛ばしても週一回のコミュ研で済みますから。

今の540ブラシモーターは、長年、レースで磨かれて来ただけあって、相当な高性能になっています。 もちろん、「高性能マグネット」を使用して、効率アップと小型化を実現している現在のブラシレスモーターに劣るのは当たり前で、比較するのも可哀想なのですが、それでも効率に関しては大雑把に言って540ブラシが70%台、ブラシレスが80%台程度と、約一割の差があるだけと思っています。

この一割の差をどう見るか・・・
フライトに必要なパワー、モーター&コントローラーの値段、メンテナンスの技術や手間、墜落時のリスク、予備モーター、などなど、色々な事があるので、540ブラシかブラシレスのどちらを選ぶかは、個人の判断に拠るしかありません。

私は、自分が特に「ブラシ派」とか「ブラシレス派」とか言う訳ではありませんが、540ブラシモーターには、・色々なターン数(巻き線抵抗)の中から自分の使い方に合った物を選びだし・それをいかに上手く使って行くかと言う、難しさと、それを克服して行く楽しさがあると思っています。


今井さんのゼロ戦

540ブラシモーターの使用例として、いつも一緒に飛ばしている今井さんのゼロ戦を紹介します。 写真は、黒澤さんのクロスウインドのページの中にあります。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/kurosawa/rc/rc.html
http://apex.project.co.jp/cgi-bin/WebObjects/rc-club.woa/wa/reportPlaneList?rid=17&burl=http://www.project.co.jp/%7Ekurosawa/rc/ev021020/ev021020.htm

バッテリ:7N-2400
モーター:ヨコモ11T2W
ギヤ比: 5:1
ペラ:APC13x6
初期回転数:6800rpm
飛行重量:1800g

ほとんどキット通りに作って、引き込み脚を装備し、7セルRC2400で1800gになっていましたが、離陸も楽々で、スピードも程々あり、雰囲気のある飛行を実現しています。
このパワーセッティングは、「ボレロ」で7セル時に使っていた事もあるのですが、「初期の静止推力が1600g程」と言えば、大体の雰囲気は分かっていただけると思います。

ただ、一つここで注意して欲しい事は、「共振」の問題です。 これは以前にも触れた事がありますが、13インチ以上のペラでは共振が起る可能性が非常に高いので、何等かの対策が必要になります。



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角倉真広 
kdkr@cb.mbn.or.jp
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