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ドクター角倉の電動機情報(掲示板より抜粋) 42)

42) 電気抵抗を測ってみましょう (2003年2月6日〜17日)

「mΩ台の電気抵抗を測るなんて難しいんじゃ?」と、思われるかも知れませんが、実際はとっても簡単です。 mVが測れるデジタルテスターがあればそれでOKなのです。

方法は、まず、電流が表示出来る充電器で、バッテリ−の充電(又は放電)を開始します。
その時、テスターで、抵抗を測りたい部分(コネクターやコード)の両端の電位差を測定すれば良いのです。
電位差を電流で割り算した答えが電気抵抗です。 精度までは分かりませんが、実用には充分になる結果が得られるはずです。

コツとしては、測定棒の先に針を縛り付けておけば、絶縁チューブを突き刺して測る事も出来るし、細かい部分の測定も便利になります。 テスターの方にはほとんど電気が流れないので、測定用のコード類の抵抗は問題にならないそうです。

この方法で、バッテリーの連結板の抵抗を自分で測ってみると、その大きさが良く判ると思います。


コネクターの電気抵抗

前回述べた方法で3種類のコネクター
〔ロッキー〕〔ヨーロピアンコネクター〕〔3.5ゴールド・ミニプラグ〕
の抵抗を測ってみました。

●ロッキー:0.13〜0.18mΩ
このコネクターには接点が2つありますが、ここでは片側のみの値です。
ロッキーには、
・本体がプラスチックの為、ハンダ付け作業時の熱の影響を受け易い。
・汚れや傷の影響を受け易い。
・ロック構造にやや不満がある。
など、使用時に気をつけなければならない点が幾つかあります。
その為、時には、使用する側の不手際によると思われる不良データが見受けられました。
今回のデータには、その悪い状態は入れていません。

コンディションが良ければ、3種類の中で最も低い抵抗値を示しますが、使い方次第と言う面もありますので御注意下さい。

●ヨーロピアンコネクター:0.2〜0.29mΩ
金属製で、熱にも強く、安心して使えるコネクターだと思います。 但し、構造上、オス・メスの間に押さえバネがある為、抵抗の点では損をしています。 また、メス側のパイプ部分にも抵抗がある為、オスとの接触点から離れるにしたがって、抵抗が大きくなってしまいます。 測定数値に幅があるのは、その測定ポイントによる差も含まれています。 抵抗を凄く気にする場合は、メスのパイプ中央付近にコードをハンダ付けした方が良いでしょう。

●3.5ゴールド・ミニプラグ:0.2〜0.35mΩ
ヨーロピアンコネクターと同じ事が言えますが、メスのパイプ部分の抵抗が大きくなっています。

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尚、これらの数値の正確さまでは分かりませんし、
製品による差も考えられますので、必ず各自で再確認をお願いします。


コードの電気抵抗

色々な物の電気抵抗を測る為には、充電器の充電コードの一ケ所を切断し、その切り口に「みのむしクリップ」を取り付けておくと便利です。 そうしておけば、測定したい物の両端をクリップではさんで、簡単に電気を流す事が出来ます。 こんな風にして、今度は「シリコンコード」と「タミヤコネクター」の電気抵抗を測ってみました。

シリコンコード14GA(一般的に良く使われている太さ)10cm:0.82mΩ
シリコンコード12GA(太めのもの)10cm:0.47mΩ
タミヤコネクター:1.1〜3.4mΩ

バッテリ−連結板の抵抗が一ケ所で0.9mΩなので、これは14GAコード
11cm分の抵抗に相当するんですね。(6セル分だと66cmもの長さ)

タミヤコネクターは前述の高性能コネクターの10倍の抵抗です。
それに、使うごとにゆるくなってしまいますから、これを使うのは???


モーターの巻き線抵抗

モーターの巻き線抵抗は、モーターの性格を知る上でとても重要です。 ブラシレスモーターに関しては、以前から坂本さんが実測され、技術情報にも度々登場させているので、ここでは、540ブラシモーターのローターの巻き線抵抗について紹介してみます。

まず測り方ですが、これは、単体のローターを万力で固定しておいて、前回紹介した「みのむしクリップ」をコミュテータの別々のフック部にはさみ付けます。 そして、電気を流して、その時の電流とコミュ間の電位差から抵抗を求めます。

実際のブラシモータ−では、ブラシがコミュテータをまたぐ時に1つのコイルをショートさせるタイミングがあるのですが、ここでは単純に、2枚のコミュ間の抵抗と言う事にしました。

その結果ですが、色々な種類のローターや巻き線がある為、簡単に、◯◯ターンの時△△mΩと言い切れないのですが、大体のデータは、横軸がターン数(T)、縦軸が抵抗値(mΩ)のグラフ上で、9Tの時6.5mΩ、17Tの時20mΩの点を結ぶ直線近辺におさまっていました。


温度と電気抵抗

ローターの巻き線抵抗などは、たまにしか測定しないものですが、同じローターを別の時に測り直すと、そのたびに違う結果が出るので、「素人の測定だから誤差が出てもしかたないか」と、長い間思っていました。 でも、誤差にしてはちょっと大きすぎるので、最近、ふと思いついて、ドライヤーでローターを温めて、もう一度測定してみたのです。すると、抵抗値が結構増えていたのです。

温度が上がれば電気抵抗も増加する事は漠然とは知っていましたが、こんなに身近なところで敏感に反応しているとは思ってもいなかったので、ちょっと驚いてしまいました。

そう言えば、これに関する事を寺田さんがEPカーのサイト「RC Car Trend」 http://www.rct.jp/ に、書き込まれれていたのを思い出しました。 これによると、夏と冬で抵抗値が1割違って当然なのですね。

尚、このサイトの、モーターやバッテリ−に関する研究室BBSは、飛行機にも役立つ情報が沢山あって、お勧めです。

場所は、トップページにあるLab Forum(BBS)から入って
RCT学会「分野別研究室」付属BBSの
RCTモーター研究室BBS
http://www.rct.ne.jp/cgi-bin/lab/motor/bbs.cgi
です。

寺田さんの書き込みは、2002/08/29です。


火花に注意

ローターの巻き線抵抗を実際に測ってみる方は少ないと思いますが、もしやってみるとしたら、ちょっと気を付けてもらいたい事があります。 それは、思いもしない時に、結構大きな火花が発生するという事です。

私はなるべく測定条件を一定にするために、測定はシュルツェの充電器で、4セルバッテリ−を2A放電させながら測定しているのです。 それで、普段は何事も無く計測しているのですが、時々、通電中のクリップがコミュのフック部から滑って外れてしまう時にバチッと火花が飛ぶ事があるのです。

原因はクリップの外れ方にあるのかも知れませんが、とにかく油断していると驚かされてしまいます。

他にも、電動ならではの注意しなければならない点は沢山あります。 例えば、バッテリ−セルのハンダ直付けもその一つですね。 セルをくっつける時、ハンダの量が多すぎたり、合わせる勢いが強すぎたりすると、溶けたハンダが飛び出して来る事があります。


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角倉真広 
kdkr@cb.mbn.or.jp
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