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ドクター角倉の電動機情報(掲示板より抜粋)

10)ナビゲーター25−10セル(その1〜10) (2001年6月12日〜7月13日)

1)ナビゲーター25-10セル(その1)
(2001年6月12日)
ごーまるギヤの搭載例で紹介されているナビゲーター25-10セルの、近況をお知らせします。
バッテリー: RC2400-10セル
スピコン: slim-50be
モーター: S215, L217
進角: 5ミリ, 6ミリ
ギヤ比: 5.7, 5.0
プロペラ: APC13×8
初期回転数: 7200rpm,7100rpm
電流: 41A, 39A
電圧: 10.7, 11.1V

(モーターにて)

*バッテリー: RC2400-10セル
私の場合、以前は7セル単位でしかやっていなかったので、10セルパックを作る事に少々面倒臭さを感じていたものです。でも長く電動をやっていればだんだんバッテリーも増えて来るもので、それらを利用すれば別に新しいセルを用意する必要もありませんでした。この10セルパックも、7セルで使っていたものを組み直したものです。

*スピコン: slim-50be
10セルでもBEC機能が使えるのでとても好都合です。


2)ナビゲーター25-10セル(その2)(2001年6月13日)
*モーター: S215, L217
これらは市販されているものではなく、手持ちのローターとモーターカンを組み合わせたものです。
S215はスモールコミュ(直径8ミリ)で、2本線巻きの15ターン、と言う意味です。
L217は、ラージコミュ(直径10ミリ)、2本線巻き17ターンです。
今の所、コミュテーターの大きさによる性能の差はほとんど感じていません。
また、ターン数違いの影響も、私の使用範囲内でギヤ比調整して使う限り、あまり感じられません。
実際は、何よりもまずコミュテーターのコンディションで性能が決まってしまうのです。

10セル用のモーターとしては今の所これくらいのものが使い易いと感じているのですが、実際の商品について「どのモーター」と言いにくい現状があります。なぜなら、最近では、巻き線の太さ、ローターの足の太さ、マグネットの種類、等、様々のものが登場しているので、モーターを分類する時、ターン数だけでモーターの性能を言えなくなっているからです。
巻き線が太くなれば巻き線抵抗は減るし、ローターの足が太くなれば一周の長さが長くなるので巻き線抵抗は増えます。それに、マグネットが強力になれば、回転数は下がります。

S215や L217は以前からあるタイプのパーツの組み合わせなので、その辺の事も考慮して10セル用モーター選びの参考にしていただけたらと思っています。
尚、搭載例のLT212 は足の太いローターの12ターンで市販品ではありません。
ヨコモ式の呼び方に倣い、トルクタイプと言う意味で間にTを入れてあります。
トルクタイプの12ターンは、ノーマルサイズローターの14ターンに近い性格と思われます。


3)ナビゲーター25-10セル(その3)(2001年6月14日)
*進角: 5ミリ, 6ミリ
進角は運転中のモーター内部の磁束のねじれに対応させるもので、パワーアップが目的ではありません。
それに、一番気になるコミュの傷みにも関係しているかもしれません。
今の所、進角を変えながら色々と試しているのですが、簡単に答えの出せる問題では無さそうです。

進角0の時のKv値(性能計算にはこれを使います)をKv0、進角5ミリ,6ミリ時の1V当たりの無負荷時回転数をKv5,Kv6とすると、測定値は次のようになっています。
但し、ブラシモーターはコミュのコンディションによってデータのバラつきが大きく、測定誤差もあるので、それ程正確な値では無いと思います。こんな時もあった、という程度にみて下さい。

****----Kv0---Kv5----Kv6
LT212---4600--------------
S215----4200---4900-------
L217----3600-----------4300
02H-----4000(参考) 


4)ナビゲーター25-10セル(その4)(2001年6月15日)
*ギヤ比: 5.7, 5.0
私の場合、飛行性能の目安として、F3Aパターンが出来るパワーを一つの区切りとしています。
取りあえずパターンが描ける様なパワーが出せれば、残りのエネルギーはフライト時間を延ばす方向に持って行くのです。
このギヤ比はそのような目的に合わせたもので、本機の場合、F3Aパターン後アドバンスドがギリギリ行える程度で、フライト時間は6〜7分となっています。

*プロペラ: APC13×8
これまでに使ってみたのはAPC11×8, 12×8, 13×8です。
どのプロペラでも取りあえずは同じような飛びが出来るのですが、やはり大きなプロペラにしたの時の確実な引っ張り感は中々のものです。この辺は機体との相性や各自の好みで、感じ方も変わって来るものと思われます。

5)ナビゲーター25-10セル(その5)(2001年6月19日)
*初期回転数: 7200rpm,7100rpm
*電流: 41A, 39A
*電圧(モーター): 10.7, 11.1V

データはスタート時の2〜3秒のものです。
この時の軸出力を計算で予想してみると、1.3^4×0.8×7.2^3×0.45=384W
また、この時のモーター入力は、10.7×41=439Wです。
効率を計算すると、384÷439=87%と、ちょっと良すぎるので、このプロペラは負荷の軽い回転の上がり易いタイプの様ですね。本当はこれ程のパワーは出ていないはずです。

尚、スタート時のデータはその時点でのコンディションを調べ、他の場合と比較するために利用しているもので、実際の飛行中のパワーは、バッテリーの放電特性からすると、スタート時の大体8割程度を考えれていれば良いと思っています。


6)ナビゲーター25-10セル(エネルギーについて)(2001年6月28日)
ここで飛行中のナビゲーター25-10セルは、どれくらいのエネルギーを使っているか考えてみます。
但し、出力は実際にトルクを測って求めたのでは無く、あやふやな予想値によるものなので、どれ程正確かは分かりません。
まず、スタート時入力からの予想です。
スタート時入力10.7V×41A=439W
効率75%と仮定した軸出力439W×0.75=330W
飛行中の予想平均軸出力330W×0.8=264W

一方、バッテリーの放電時間から考えると、2400mAhのバッテリーをモーターラン3.5分で消費する場合、実際に取りだせる容量を2000mAhとすると、平均電流は、2.0×60÷3.5=34A
その時の10セルの電圧を10.5Vとすると、ワット数は、10.5×34=357W、効率75%とすると357×0.75=267W

どちらもかなり予想値だらけなのですが、とにかく、260W程度の軸出力で4分弱の連続水平飛行が出来そうな性能です。ただ、これは全く上下動せず、スロットルもフルハイ状態での水平飛行の場合であって、実際には上昇時はもう少し大きい値となり、下降時は小さい値になっているでしょうね。


7)ナビゲーター25-10セル(エンジンのデータ)(2001年6月30日)
20〜25エンジンの実際の使用データは中々見当たらないものです。
それに、チューンドサイレンサー付きではナビゲーターにはふさわしくありませんし、色々探してみましたが、トレーナー〜スポーツフライト用で、ノーマルマフラーの場合は、この程度の様です。

OS25
APC10×4 11700rpm
APC10×5 10800rpm
プロペラ回転数から軸出力を計算してみると。
1.0^4×0.4×11.7^3×0.45=288W
1.0^4×0.5×10.8^3×0.45=283W

この様に地上静止時には280W程度の軸出力が予想できます。でも飛行中はどうなっているのでしょうか?
エンジンの性能曲線を見ると、普通の使用領域では、負荷を軽くして回転数を上げた時の方がパワーは大きくなっています。飛行中の回転数を考えると、上昇時は地上と同じくらいかもしれませんが、水平や降下時は回転が上がっているはずです。
この事から、上昇時には280Wでも、スピードに乗った水平や降下時にはもう少しパワーが出ているかもしれません。特に2stエンジンの場合にはそんな感じがするのです。


8)ナビゲーター25-10セル(電動とエンジンの違い)(2001年7月4日)
エンジンやモーターの性能を表す時には性能線図が使われます。
実車のカタログにグラフが載っていることもありますね。エンジンの場合では、X軸に回転数、Y軸に出力とトルクをとったグラフになっています。

一方、モーターの場合、性能線図の描き方はまちまちで、X軸がトルクだったり電流や回転数だったりします。
良く見かけるタミヤやマブチの物はトルク基準型なので、そのままではエンジンと比べる事は出来ません。
性質を比較するには回転数をX軸にとったグラフに書き換える必要があります。

この様に、両者の出力を回転数基準のグラフにしてみると、出力は放物線状の曲線で描かれるのですが、ここで大きな違いを見つける事が出来ます。
それは、エンジンの使用領域が放物線左側の、「回転数が高い方がパワーが大きい」領域なのに対し、モーターでは放物線右側の、「回転数が高い方がパワーが小さい」領域での使用になっているのです。

パワーを上げようとする時、エンジンでは負荷の軽いプロペラにして回転数を増やしますが、モーターでは大きいプロペラやピニオンギヤを使って負荷を重くしてモーター回転数を下げる事になります。


9)ナビゲーター25-10セル(比較)(2001年7月10日)
電動とエンジンを比較すると言っても、それぞれで使用状況に差があるので、中々簡単にはいかないのですが、ほんの一例と言う事で、これまで取り上げてきたデータで比較してみます。
(説明の都合上の想像の数値も含みます)
----------電動---エンジン
離陸時----330W--280W
水平飛行--260W--300W
上昇飛行--280W--280W
飛行重量--1950g--1800g

電動の離陸時のパワーは瞬間値なのであまりあてにはなりませんが、かなり余裕はありますね。
エンジンの水平飛行時のパワーはさすがに大したものです。ノビノビ飛行をさせるエンジン(特に2st)に慣れた人にとって、電動が物足りなく感じられる所でしょう。

上昇時は軸出力が同じでも、大きいペラで空気をしっかり捉えられる電動の方が有利のはずですが、本機の場合は機体重量に足を引っ張られてしまうのが残念です。
集いの参加機には、10セル機で1600g程度の物も有りますが、そこまで軽量化出来れば面白さも倍増するでしょうね。


10)ナビゲーター25-10セル(評価)(2001年7月13日)
エンジン用の機体なので電動として評価するのも酷な話ですが、性能より何よりまずこの値段の安さには驚かされてしまいます。何しろ、バルサキットよりも安いのですから。

本機は7セルでもフライト可能ですが、安心して飛ばすには10セル程度が無難な所になるでしょう。
ただ、実際にやってみようとする時、一番のネックになるのは、この10セル程度のセルをどう用意するか、と言う事になると思います。
肝心の飛行ぶりの方は、エンジンの時より200gは重くなってしまい、浮きの良さが無くなり、着陸も神経を使うようになるので、トレーナーの様に気楽にフライトを楽しむと言う訳には行きません。
それよりは、新しいモーターやギヤ比のセッティングを調べたり、RCメカの調子を見たりするテスト機と言えるかもしれません。

電動飛行機の楽しみの一つに「工夫する楽しみ」がありますが、それには、ただ考えているよりも実際に現物を手にしながらの方が、ずっと良いアイデアが生まれて来るものです。
例えば、ギヤユニットの搭載方法では、ただ単にユニットと機体をネジ止めしておけば良い訳ではありません。
接地ショックを和らげる工夫等も必要になります。プロペラバランスもそうです。
いい加減な取り付けでは振動や騒音が発生してしまいます。モーターコンディションにしても、これまで幾つかのデータを挙げて来ましたが、ブラシモーターをこのような状態に保つには、かなりの努力が必要です。

このように私達のRCはフライトを楽しむシミュレータと違い、あくまでも現実の物であって、一つ一つのパーツに気を使って行かなければ成り立ちません。本機はそう言った実際の体験をする時に役立つ、便利な一機だと思います。


11)ナビゲーター25−10セル(その11〜12)(2001年10月4・22日)

11)ナビゲーター25-10セル(10セル時のブラシ)(2001年10月4日)
ナビゲーターは引き続き540モーターの可能性を探る為にフライトを重ねているのですが、車の方では最近スモールコミュの使用が多くなっている様なので、入手性の事を考え、私もスモールコミュを使うようにしてみました。
その結果、Sコミュと新型ブラシ(ヨコモ081)の組み合わせは、10セル時においてかなり厳しいものがある事が分かって来ました。
このブラシは、7セルではパワーも出しやすくとても快調なのですが、10セル時にはセッティングによって1フライトでブラシとコミュがザラザラになってしまう事もあるのです。

そこで、今回その対応策として紹介するのが、「エコー E-3049」ブラシなのです。
これは古いタイプの物かもしれませんが、カーボンの量が程々あり、初期値はやや落ちるものの、フライト中のパワーに関しては、ほとんど落ち込みは感じられないのです。ブラシの傷みが少ない分、かえって調子が良いと思える時もあるくらいです。表示はソフトとなっていますが、使った感じは決してそうではなく、使い方にややコツがあるので、私の使い方を紹介しておきます。

まず気をつけたいのが、全面アタリになるまで、結構時間がかかるという事です。下手をすると、この全面アタリにする段階でコミュを傷めてしまうので、この時期はブラシのブレークインと割り切って使った方が良いかもしれません。ブラシが全面アタリになった時点で一度コミュ研をすれば、それから本当の性能を発揮できます。
良く言われているような、コミュ研毎のブラシ交換は、私の経験上かえってマイナスの感じがします。
せっかくRの馴染んだブラシを捨てるなんて、とてももったいない事で、そのまま使い続けた方がずっと具合良いと思います。

現在では、このようにして、10数フライト毎にコミュ研をしながら使い続けているのですが、ブラシの減りは20〜30フライトで0.5ミリ程度とほんのわずかなので、相当長い時間使えるものと思っています。

現在のデータです。
バッテリー: RC2400-10セル
スピコン: slim-50be
モーター: S215
進角: 5ミリ
減速比: 5.33
プロペラ: APC13×8
初期回転数:6800〜7100rpm
電流: 36〜42A
電圧: 11V前後(バッテリーにて)



12)ナビゲーター25-10セル(S213とS217を試す)
(2001年10月22日)
S215とエコー3049ブラシの組み合わせは、10セル時にとても合っている様で、最近などは13フライトした時点でコミュ研をしたところ、何と0.01ミリの削り込みで済んでしまいました。
そこで、他のターン数のモーターでもこのブラシを試してみることにしました。今度の使用モーターは S213とS217です。このうちS213はかなりの高回転となるため、実用にはならないと思いますが、とりあえずのテストと言う事で回してみました。

S213のデータ
Kv0=4800rpm/V
Kv5=5300rpm/V
バッテリー: RC2400-10セル
進角: 5ミリ
減速比: 5.81
プロペラ: APC13×8
初期回転数:6900〜7200rpm
電流: 42〜48A
電圧: 10.3〜10.5V(バッテリーにて)

Kv0はニュートラル時の1Vあたりの無負荷回転数です。
進角をつけると無負荷回転数が上昇しますが、この時の値をKv5(5ミリと言う意味)と表記しておきます。
10セルの満充電バッテリーを4A程度で放電させた時の電圧は13V程ですから、もしKv5=5300rpm/Vのモーターを繋いだとすると、5300×13=68900rpmと言う事で、恐らくローターが壊れてしまうでしょうね。
こんな事があるので、無負荷時の回転数チェックはセル数を少なくして行います。

上記のセッティングはややきつめで、初期電流値も40Aを越えていますから、かなりのパワーは発揮出来るのですが、いつ壊れても不思議では無い状態と思うので、数フライト様子をみただけで終わりにしました。
これによって、14ターン以上であれば、10セルでもそれ程心配無しに使えそうな事が分かりました。

S217のデータ
Kv0=3400rpm/V
Kv5=3900rpm/V
バッテリー: RC2400-10セル
進角: 5ミリ
減速比: 4.26
プロペラ: APC13×8
初期回転数:6700〜6900rpm
電流: 38〜41A
電圧: 10.7〜11V(バッテリーにて)


これもややきつめセッティングなので、実際はこれよりも軽めの負荷が望ましいと思います。
初期値のデータはそれ程大した事はありませんが、フライト全体を通してみると、パワーと時間のバランスが取れていて、好印象が持てる組み合わせでした。



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